7b5af08dfcf3910ae060f3abc28b0307_s

今後なくなる職業とこれからのビジネス

今後なくなる職業とこれからのビジネス

人間が行う仕事の大部分が機械に奪われるという衝撃的な予測をしたのは、イギリスのオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授である。

AI(人工知能)などの研究を行うオズボーン氏が、同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員とともに702業種を徹底調査した結果を発表した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文が、世界中で話題となったのは記憶に新しい。

5b2164c2aba167b5849106c53c20b6c7_s

これを「興味深い研究」として、傍観しているだけでは、いけないのではないのか?
「消える職業」「なくなる仕事」についてきちんとした考えを持たないと、今後のビジネスシーンどころか、もっとシンプルな労働環境そのものについていけなく可能性があるのではないだろうか

□我々は、AIをきちんと認識しているだろうか

AI(人口知能)は今までも、何度も革新的な技術として取り上げられることはあったが、精度が低く、単なる学術的な興味にとどまってきた。端的に言えば「AIは人間ほど複雑なことはできない」というわけである。
しかし、機会学習とビッグデータにより、どんどん精度を増してきたAIは次第に無視できないものとなってきている。

7b5af08dfcf3910ae060f3abc28b0307_s

IT業界や研究者のAIに関するここ近年の発言を見てみよう。

GoogleのCEOラリー・ペイジ氏のインタビューでは、こんなことを言っていた。
「コンピューターが数多くの仕事をするようになる。これは私たちが “仕事をする” という考えを大きく変えることになるだろう。あなたはこんな現実は嫌だと思うかもしれないけど、これは必ず起こることなんだ。」(ラリー・ペイジ)

車いすの天才物理学者、スティーヴン・ホーキング博士はAIの危険性について「人類が完全なるAIを開発すれば、それは自ら発展し、加速度的に自身を再設計し始める。完全なるAIの開発は人類の終焉(しゅうえん)をもたらす可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

 ホーキング博士らのAI危険論に異議を唱えたのはアメリカの人工知能学会の元会長でもあるエリック・ホロビッツ氏だ。英BBC放送の取材に対し、「長期的にみて、(自身で進化する)AIをコントロールできなくなるという懸念はあったが、私は基本的にそういうことは起こらないと思う」と主張。「最終的に長い人生で、科学、教育、経済などの分野でAIから信じ難いほどの利益を得ることになる」と訴え、AIが未来の人類に多大な貢献を果たすとの見方を示した。

ビル・ゲイツ氏はアメリカで開かれていたインターネット系のイベントで、「私もAIに懸念を抱く側にいる一人だ」とAIに対して真っ向から反論。「当面、機械はわれわれのために多くのことをしてくれるはずで、超知的にはならず、うまく管理できている場合はプラスに評価できるが、数十年後には知能が強力になり、懸念をもたらす」とAIの潜在的な危険性を指摘した。

2011年に亡くなった元スティーブ・ジョブズ氏は人工知能の進化においても、まるで預言者のような役割を果たしていたと言われることがある。Siriを搭載したiPhoneはまさに、今後のAIの行く道を示しており、驚きの人工知能的な技術が取り入れられているパーソナルアシスタントだった。

Facebook CEOマーク・ザッカーバーグ氏の2016年の計画には自宅や職場で人工知能によるサポート機能を構築する、という内容が組み込まれているという。そして、「(漫画・映画の)”アイアンマン”に登場する人工知能の執事、ジャービスのようなイメージ」AIの執事の実現に挑戦している。

AIに対しては、賛否両論あるのだが、いずれにしても「脅威である」という認識では一致しているのだ。ここで翻って自分のことを考えて欲しい。AIのことに関して、どれほどの情報と考えを持っているだろう?

□AIと雇用についてまじめに考えて見よう

ホリエモンこと堀江貴文氏が会社を経営していた頃は、周りから「IT業界は雇用創出できない」とよく言われたそうだが、確かにその通りで、どんな優秀なトレーダーもスーパーコンピューターの頭脳にはかなわない。

しかし今のところ、コンピューターの頭脳は人間というオペレーターが命令しないと、単なるプログラム上のアルゴリズムに過ぎない。そしてAIだけでは、単にデータを生成することしか、いや、それすらもできず、コンピューター自身では動作しない。
しかし、実行の自動化がもっと簡単に出来る様になり、さらにここに精度の高いロボット技術が加わったとしたら、労働者の雇用が脅かされる前提がそろってしまうのだ。

では、この前提を踏まえたうえで、オズボーン氏の『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文からあと10年で「消える職業」「なくなる仕事」として挙げられている例を見てみよう。

・「消える職業」「なくなる仕事」

 銀行の融資担当者
 スポーツの審判
 不動産ブローカー
 レストランの案内係
 保険の審査員 
 ローン審査員
 小売営業員
 医療事務員
 飛び込み営業員
 保険営業員
 モデル
 動物のブリーダー
 電話オペレーター
 給与・福祉厚生担当者
 税務申告書作成者
 経理担当者 
 銀行窓口係
 タクシー運転手
 レジ係
 娯楽施設の案内係、チケットもぎり係
 家事のディーラー
 ネイリスト
 クレジットカードの審査員
 集金人
 法律事務所の事務員、弁護士助手
 ホテルの受付係
 電話販売員
 仕立て屋(手縫い)
 時計修理工
 税務申告書代行者
 図書館員の補助員
 データ入力作業員
 彫刻師
 苦情の処理・調査担当者
 簿記、会計、監査の事務員
 検査、分類、見本採取、測定を行う作業員
 映写技師
 カメラ、撮影機器の修理工
 記入期間のクレジットアナリスト
 メガネ、コンタクトレンズの技術者
 殺虫剤の混合、散布の技術者
 義歯制作作業者
 測量技術者、地図制作技術者
 造園・用地管理の作業員
 建設機器のオペレーター
 訪問販売員、路上新聞売り、露天承認
 塗装工、壁紙張り職人
 漁師
 農業
 検査官
 兵士
 大工
 ロボット製造者
 プログラマー
 電車の運転士
 通訳
 速記
 レジ係
 新聞配達員
 郵便配達員
 訪問型営業….etc

この議論の発端となったオズボーン氏は野村総研の調査で、「日本の労働人口の約49%がコンピューター技術に代替される可能性が高い」と結論づけている。

そうなると、ロボットが台頭し無くなる仕事が出てくる代わりに、ロボット関係の仕事が新たに必要とされるということになる。

・新たに必要とされる仕事
 ロボットデザイナー
 ロボットエンジニア
 ロボット修理工
 ロボットセラピスト
 ロボットのトレーナー
 ロボットのファッションデザイナー

また、リクルートワークス研究所が予測した2025年の雇用環境によれば、日本は超高齢化社会により、労働人口が減るものの、製造業や事務職では機械化がさらに進み、求人も減る。その一方、機械が取って代わることのできない医療・福祉職はますますニーズが高まるのに、やりたがる人がいない。需給のミスマッチはますます深刻化する、と指摘している。

・生き残る仕事

 ソーシャルワーカー
 聴覚訓練士
 作業療法士
 口腔外科医
 内科医
 栄養士
 外科医
 振付師
 セールスエンジニア
 小学校の先生
 真理カウンセラー
 人事マネージャー
 コンピューターシステムアナリスト
 学芸員
 看護師
 聖職者
 マーケティング責任者
 経営者

今後のビジネスはロボット化を前提とした上でAI化を見据え、「消える職業」「なくなる仕事」の代わりとなるものを提供することが目標になって行くのではないだろうか。
「『ビジネスを作るビジネス』を作る」ロボットが出来るまでの話しかもしれないが。
(ライターK)

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です